私たち親世代が育ってきた時代と今では、食物アレルギーの概念は大きく変化してきました。
例えば、子どもが食物アレルギーを発症しないように、授乳中の母親は卵や牛乳などを制限したほうが良いとか、食物アレルギーになりやすい食物は摂取時期を遅らせたほうが良いとか、完全母乳で育てた方が良いなんて話を聞いたことはありませんか。
それは間違いです!
インターネットやSNSが普及する現代では、古い情報やエビデンスに基づかない様々な情報が飛び交っており、それらの間違った情報に振り回されないようにしなければなりません。
そこで今回は、食物アレルギーの予防法について、一般社団法人日本小児アレルギー学会が作成した「食物アレルギー診療ガイドライン2021」及び、日本アレルギー学会と厚生労働省で作成したアレルギーに関するポータルサイト「アレルギーポータル」を基に、最新の情報をお伝えします。
妊娠中、授乳中の母親の食事制限はNG!
妊娠中は胎盤を通して、授乳中は母乳を通して母親の栄養が子どもに伝わることから、昔は妊娠中や授乳中の母親は、食物アレルギー予防のために特定の食物を避けた方が良いといわれていたこともありました。
しかし今では、「妊娠中や授乳中の母親が特定の食物を除去しても食物アレルギー予防効果がない上に、母親の栄養状態に対して有害であり、推奨されない。」といわれています。
赤ちゃんの成長のためはもちろん、ママの健康のためにも栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
食物アレルギー予防の観点からは、母乳でも人工乳でもOK!
昔は人工乳(普通ミルク)よりも母乳で育てた方が食物アレルギーになりにくいといわれていたこともありました。
しかし最新の研究結果によると、「母乳には多くの有益性があるものの、食物アレルギー予防という点で母乳栄養が混合栄養に比べて優れているという十分なエビデンスはない。」といわれています。
また、乳児期早期から母乳とともに人工乳を摂取することにより、乳児の牛乳アレルギー発症予防に効果があるという研究結果もあります。
そのため、各家庭の方針や環境、母親の体調と相談しながら、親子に合った方法を選択するのがよいでしょう。
卵は1歳を過ぎてからでは遅い!加熱卵黄は生後5~6か月から!
昔は食物アレルギーを発症しやすい卵は1歳以降に与えるのが好ましいといわれていたこともありました。
しかし、国内外の研究が進むにつれて、鶏卵などの食物アレルギーの原因となりやすい食物の摂取開始時期を遅らせることは、逆効果となることが分かってきました。
2021年度版の食物アレルギー診療ガイドラインでは、「生後5~6か月から加熱卵黄を摂取開始してよい。」との記載が追加されました。
また、離乳食の開始時期についても生後5~6か月ごろが適当とされており、離乳食の開始時期を遅らせることは推奨されていません。
食物アレルギー予防には毎日のスキンケアが大切
昔は、食物アレルギーは口から入って消化管で吸収されることにより、食物アレルギーが発症すると考えられてきました。
しかし近年の研究結果からは、皮膚湿疹があるところにアレルゲンとなる食物が入ってしまい、その後、その食物を口から摂取したときに異物と判断し、免疫反応が働いて食物アレルギーが発症するというメカニズムが分かってきました。
つまり、「日ごろからのスキンケアにより皮膚をきれいに保つことが、食物アレルギーの予防につながる。」ということです。
2021年度版の食物アレルギー診療ガイドラインでは、「乳児期早期の湿疹が食物アレルギーのリスク因子となることは多くの疫学研究から明らかであり、離乳食開始前には、湿疹発症早期から治療を開始し、速やかに湿疹を十分にコントロールしておくことは推奨される。」との記載が追加されました。
食物アレルギーのあるお子さんのママやパパへ
日本では幼児の約5%の子どもに何らかの食物アレルギーがあると言われています。
日々の食生活の中で、子どもの食物アレルギーに配慮し、毎日料理を手作りするのは大変ですよね。
食品衛生法により、加工食品にはアレルギー表示が義務づけられているので、あまり手作りにこだわらず、アレルギー表示を確認して加工食品を上手に利用するのも良いでしょう。
冷凍幼児食通販「LUCE」の各商品紹介ページには、特定原材料8品目に加えて特定原材料に準ずるもの20品目の食材を見やすく記載しています。
商品パッケージにも分かりやすく記載していますので、お子様の食物アレルギー原因食物の使用有無を確認した上で、安心してご利用いただけます。
家事も子育ても、子どもの食事のケアも頑張っているママやパパには、LUCEを活用して子どもと一緒にいる時間や、ママやパパ自身の休息の時間を確保してもらえたらいいなと思います。
<参考資料>
・「食物アレルギー診療ガイドライン2021ダイジェスト版」一般社団法人日本小児アレルギー学会
・「アレルギーポータル」一般社団法人日本アレルギー学会・厚生労働省
・「食物アレルギー」国立研究開発法人国立成育医療研究センター