これまで、子どもの好き嫌いは、親から遺伝しないと言われてきました。
しかし、国内外の様々な研究によると、なんと味覚は親から遺伝するのだとか!?
人は、「甘味、塩味、苦味、酸味、うま味」の5つの味覚をもっていますが、その中の「苦味」については、苦みを感じる遺伝子があり、その遺伝子の有無によって味の感じ方が異なるのだそうです。
親から受け継がれる遺伝子によって、苦味を敏感に感じる子がいたり、そうでない子がいたりするというのは驚きです。
今回は、「遺伝」と「味覚」の関係についての最新の研究をご紹介するとともに、苦味を克服する方法についてもお伝えします。
最新の研究結果
2023年5月、国際科学雑誌「Nutrients」に掲載された論文によると、大阪大学と大阪国際がんセンターの研究グループは、個人の味覚を数値化することを目的として、苦味を感じる遺伝子の解析を行いました。
その結果、人には苦味受容体遺伝子である「TAS2R38」という遺伝子があり、この「TAS2R38」のタイプによって、苦味を感じる感度が大きく異なることが分かりました。
感度が高いタイプの遺伝子を持つ人は、低いタイプの遺伝子を持つ人に比べて、10倍から50倍も苦味に対して敏感に反応したそうです。
つまり、親から受け継がれた遺伝子の違いによって、苦味の感じ方は個々で大きく異なるということが分かりました。
「苦味」を克服する方法
苦味に敏感な子は、苦みのある食材を避ける傾向にあるため、栄養バランスが悪くなる可能性があります。
しかし、苦みのある食材には栄養素が豊富に含まれているため、少しずつ食べられるようにしていきたいものです。
遺伝だから仕方がないとあきらめるのではなく、次にご紹介する方法を試してみてください。
◎繰り返し食べて慣れさせる
そもそも人間の体は本能的に、「苦味」を「毒物」のシグナルととらえるので、拒否反応を示します。
そのため、苦味は成長過程の食経験を重ねることで、「この苦い食べ物は食べても安心できるものだ。」と認識させる必要があります。
少量からで良いので何度も繰り返し食べることが大切で、これを繰り返すことで「馴染みのある味」になり、「好きな味」へと変化していきます。
初めは子どもが食べなくても、食卓に何度も登場し繰り返し目にするだけでも、「慣れ」や「安心感」につながっていきます。
また、家族がおいしそうに食べているのを子どもが間近に見るだけでも、その食材への安心感を与え、つい自分も食べてみようかなという気持ちにさせてくれます。
◎色々な食材を試してみる
「苦味」といっても苦味物質は1種類ではなく、様々あります。前述した苦味受容体遺伝子の「TAS2R38」は、ブロッコリーやキャベツ、小松菜や大根、菜の花などのアブラナ科の野菜の苦味を受け取ると言われています。
ならば、苦味のある野菜でも、アブラナ科以外だと食べられる可能性があるかもしれませんね。
色々な食材を試してみて、野菜の中から食べられるものを見つけていきましょう。
家庭料理だとつい同じ食材ばかりを使いがちになってしまうので、お惣菜や冷凍食品、外食なども、普段使わない食材やメニューに出会えるチャンスととらえて、活用してみるのも良いでしょう。
◎五感を使って食べる
私たちがおいしいと感じるのは、味覚から感じ取るものだけではありません。
「苦味」は口の中の味蕾で感じとるものですが、おいしさは香りや食感、見た目も深く関係しています。
よって、苦味のある野菜でも、切り方を変えて食感を変えてみたり、香りの良いハーブやスパイスで味付けしてみたりすることで、美味しさの感じ方は変わります。
さらに、子どもが喜ぶ見た目にするのもオススメです。
野菜を型抜きしたり、かわいいピックを刺したり、お子様ランチ風にワンプレートに盛りつけたりしてあげると、子どもの気分が上がって、食べたいという気持ちにさせてくれますよ。
◎言葉で説明する
苦味を嫌がる子には、食べ物の栄養や効果を分かりやすい言葉で伝えてみましょう。
例えば、戦隊ヒーローが好きな子には、「ブロッコリーを食べると、筋肉が作られて力が強くなるよ。」とか、お姫様が好きな子には、「キャベツを食べるとツヤツヤのきれいなお肌になるよ。」などと伝えることで、食べることのメリットを感じて、食べてみようかなという気持ちが生まれます。
苦手な食材を食べられたら、ママやパパはたくさんほめてあげることを忘れずに!
楽しい食卓に!
最後に、子どもの好き嫌いに焦点を当てすぎて、食事がストレスにならないように注意することも大切です。
色々な方法を少しずつ試しながら、子どもの好き嫌いとは気楽に気長に付き合っていきましょう。
そして、ママやパパは家事で楽できるところは手を抜くことも大切です。
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子どものために毎日がんばっているママとパパの笑顔のために、『LUCE』を活用してみてはいかがでしょうか。
参考文献
・国際科学雑誌「Nutrients」15号2415
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37242298/)
阿知和 りか